六花の舞う頃

エジプト神話をメインに描いているブログです。

母と子、父と子

アメコミ。

「フラッシュポイント」
以下、感想とか。長いよ!そして凄まじくネタバレしてるよー!!

*   *   *

■「フラッシュポイント」
(脚本/ジェフ・ジョーンズ 作画/アンディ・キューバート)
全ては一瞬に変わり得る。そう、ほんの一瞬(フラッシュ)で……。
世界最速の男の名を欲しいままにしてきたフラッシュことバリー・アレン。
ある日、まどろみから目覚めた彼は、かすかな違和感に眉をひそめた。
いつもの見慣れた光景のはずなのに、何かがおかしい……。やがて彼はその真相を知る事になる。
彼がまぶたを閉じていたほんの刹那に、世界は姿を一変させていたのだ。

この世界には、ジャスティスリーグもスーパーマンも存在しない。
アクアマンとワンダーウーマンは世界の覇権を懸けて死闘を繰り返し、人類を破滅の瀬戸際に追いやっている。そして、バットマンは……。
果たしてバリー・アレンは平行世界に来てしまったのか?
敵の作ったミラーワールドに閉じ込められてしまったのか?
いや、そのどちらでもない。これは紛れもない現実なのだ。
そして、世界を変えた張本人とは、フラッシュ本人……!?(巻頭紹介より)


主人公のフラッシュ(バリー)については以前の紹介記事を。
ちょっと補足すると、バリーの母ノーラは彼が10歳の時に何者かに殺され、父ヘンリーは妻殺害の
無実の罪で投獄、そのまま獄中で死亡する……という過去があります。

それを踏まえて本編「フラッシュポイント」!
ほんの少しのうたた寝から目覚めたバリーがいたのは、いつもの職場である研究所。
見慣れた風景、しかし何かが奇妙でした。
「ミス・アルケミー」「シチズン・コールド」と耳慣れない単語が飛び交い、そして「ローグズ」を誰も知らない……。そしてバリー自身の「フラッシュ」のコスチュームも、彼の能力であるスピードも何故か失われていました。
戸惑うバリーの前に現れたのは、ずっと昔に死んだはずの母ノーラ。

何が何だか分からなくても母に会えて嬉しいバリーですが、「ジャスティスリーグ」も「スーパーマン」も、もちろん「フラッシュ」も通じない事にはっきりと違和感を覚えます。

そんな中バットマンは有名なようですが……

しかし彼も何だか様子がおかしい。

普通にヴィラン殺そうとしてますし。
(本来のバットマンはヴィラン相手でも決して殺人をしない)

同じくジャスティスリーグのメンバーであるワンダーウーマン(左)とアクアマン(右)は……
それぞれアマゾンとアトランティスを率いて互いに終わることのない戦争を続け、人類は存亡の危機に立たされています。
この戦争を止めるべくバットマンの前に現れたヒーロー、サイボーグは他の超人たちを集め対抗しようとしていますが。

しかしバットマンは協力を拒否。集まった他の仲間も「バットマンが来ないのなら……」と次々と抜けてしまい、望みは絶たれたかに思えます。

自分の知る世界が様変わりしてしまった理由の手がかりを求めて、バットマンを訪ねるバリー。
(ちなみにスピードを失ってるので車で来ました…)
しかし現れたバットマンはやはりフラッシュの事を知らないようで、問答無用で襲ってきます。  
バリーが口走った「ブルース」という言葉に一瞬動きを止めるバットマン。
「バリー・アレンだよ、まさか忘れたのかブルース……」となおも言いつのるバリーに、バットマンは衝撃の一言を告げます。

「ブルースは死んだ。私の目の前で……」

バリーの目の前に立つ男の名はトーマス・ウェイン。
元の世界ではバットマン───ブルース・ウェインの父にして、妻と共に殺されたはずの人物です。
しかしこの奇妙な世界では殺されていたのは彼の妻と息子のブルース。そして父トーマスがバットマンとなっていたのでした。
混乱するバリー。その時彼の脳裏にフラッシュバックしたのは、「この世界での」彼の記憶。
死んだはずの母が生きていて、バットマンはトーマスで、アクアマンとワンダーウーマンが殺し合う……目を覆いたくなるような光景は夢でも別世界でもなく、紛れもない現実の世界でした。
この世界に合わせて彼自身の記憶は次第に塗り替えられていき、いずれ元の世界の記憶も完全に失ってしまう事になります。

バリーは歴史を改竄して世界を作り替えた張本人を、彼の宿敵リバース・フラッシュ……フラッシュとほぼ同じ力を持ちながら過去へさかのぼり、母を殺したヴィラン……の仕業によるものと推測。
この世界を元に戻すには、完全に記憶を書き換えられる前にスピードを取り戻し、リバース・フラッシュに対抗しなければなりません。
 

トーマスの力を借り、かつてバリーがフラッシュとなった……雷と化学薬品をかぶってスピードを得た事故を再現しようとします。

しかし結果は失敗。雷を浴びたバリーは全身に大火傷を負ってしまいます。
苦しむバリーの脳裏に蘇るのは改竄されたこの世界の記憶。リバース・フラッシュが奪っていった両親との平凡な、しかし幸せな時間……。それは例え偽りのものであっても忘れがたいものですが、それを記憶しているという事は元の世界、バリーの大切な人達やトーマスの息子ブルースも忘れる事を意味していました。
トーマスに懇願し、自力で動けない体をおして再チャレンジするバリー。
再び雷が落ち、今度はついにスピードを取り戻します。

一度スピードを取り戻すと本来の回復能力を発揮、コスチュームもまといフラッシュとなったバリーは、かつてのチームメイト、ジャスティスリーグのメンバー達と接触を図ろうとします。
しかしアクアマンとワンダーウーマンは言うに及ばず。グリーンランタン(ハル)はこの世界ではリングを持っておらず、人間のパイロットでしかない彼を戦いに巻き込むのは断念。

そして地上最強の男、スーパーマンはというと。
トーマスとバリーは、アクアマン達との戦いに協力することを条件にサイボーグの助力を借り、スーパーマンと思しき人物が隔離されている政府施設の地下深くを目指します。  
厳重に隔離された部屋の中にいたのは、やせ細った一人のクリプトン人。
自分の知る姿からはあまりにもかけ離れた彼の姿に驚くバリーですが、「たとえどんな状況で育ったとしてもスーパーマンは絶対に善人だ」と信じ、彼を外へと連れ出します。

しかし彼らを追ってきた武装した兵士達に怯えたスーパーマンは、バリー達を置いて空へと逃亡。
その場はサイボーグを尾けて来た(笑)、エレメントウーマンの助けでなんとか逃れます。

元素を操るヒロインで、サイボーグのチームを皆断った事に納得がいかず後を追ってきた様。
そして再びバリーの脳裏にフラッシュバックする改竄された記憶……。
そのスピードは次第に早まっていき、全ての記憶が書き換えられるのも時間の問題かと思われました。

記憶の改竄が止まらないフラッシュを救うべくトーマスが訪れたのは、とある少年少女たちの家。

彼らは6人が一体となり魔法の雷を操るヒーロー、キャプテンサンダーへと変身する子供達です。

ちなみに彼の元ネタは……変身時の呪文「SHAZAM!」がヒントw
しかし彼らにも改竄を止めることは出来ず。そこに入ってきた緊急ニュース。
イギリスで米軍vsアマゾン軍の空中戦が発生、戦場にミサイルを落としに向かったハルはその犠牲となった…というものでした。そしてアトランティスにより押し寄せる津波……ついに世界が終末の時を迎えようとしていました。

子供達(キャプテンサンダー)やエレメントウーマン、かつてサイボーグのチームを断った面々も集まり、ついにアクアマンとワンダーウーマンの戦争を止めるべく、戦場であるブリテン島に集結します。
まずはキャプテンサンダーが因縁のあるワンダーウーマンに戦いを挑みます。
しかし、集まったチームの中には裏切り者……アマゾンのスパイが入り込んでいたのでした。

魔女エンチャントレスの裏切りで不意を突かれ、強制的に分離させられてしまった上に子供の一人を殺され、6人の子供が一体となって変身するキャプテンサンダーは無力化されてしまいます。

乱戦となる戦場。打ちのめされるバリーの前に現れたのは……  
フラッシュ最大の宿敵、リバース・フラッシュ。
本名をイオバード・ソーンといい、25世紀出身の科学者です。バリーと同じようにスピードフォースの力で超スピードを得た彼は過去へとさかのぼり、バリーの母ノーラを殺した真犯人でもあります。

「この世界に何をした!?」と怒りをぶつけるバリーですが、ソーンはそんな彼をあざ笑い「オレは何もしちゃいない。この素晴らしく狂った世界を作ったのは……他でもない、あんたさ!と。
 
ソーンによって真相を思い出したバリー。
母殺しの犯人がソーンだと知ったバリーは、悲しみ嘆くあまり決して行かないと誓った禁断の領域……過去へ、母親が死んだ日へと踏み込んだこと。そしてソーンを見つけたバリーは殺害を止めようと全力でスピードフォースをぶつけた事、その衝撃が弾丸のように歴史を打ち砕き、この「フラッシュポイント」の世界を作り出した事……。  
このいびつな世界を作り出したのは、母が生きている世界を取り戻したいと願ったバリー自身でした。

そしてソーン自身は歴史が砕けた時に時間流の中で変容を遂げ、歴史の鎖から解放された
生きたパラドックスとなったのでした。
つまりバリーがフラッシュになって、ソーンのいる25世紀まで続くスピードフォースを残さなければリバース・フラッシュは存在しなかったわけで。(今までバリーを殺さなかったのはその為)
しかし時間を超越した今のソーンには過去のバリーに何があろうと影響はなく、いつでも好きな時に彼を殺せる事になります。

なす術もなく倒れるバリーを前に「バリー、お前にオレは殺せない。フラッシュはイオバード・ソーンを殺せないんだ!」と勝ち誇るソーン。
その時、彼を永遠に沈黙させたのは…………。 


地下に潜んで抵抗を続けていたレジスタンスや、戻ってきたスーパーマンも加わって混戦状態となる戦場。アトランティスが仕掛けた爆弾により、ブリテン島はおろか地球そのものまで破壊され始め、世界は破滅へと向かっていきます。そして書き換えられていくバリーの記憶……。
重傷を負ったトーマスはバリーに「記憶が消える前にここから逃げて、世界を元に戻せ」と告げます。
 
最期に息子ブルースへの手紙を託し、息を引き取るトーマス。
多くの者達が死んだ静寂の中、響き渡る爆発の轟音。
立ち上がって走り出し、時間流に乗るバリーが最後に思うのは母の笑顔……。
すると急に体が引っ張られ、時間流から脱出してしまいます。

気づくと彼は自分の家に。目の前には母がいました。
世界を元に戻すため「過去に戻り、母が死んだ日に向かおうとする過去の自分を止める」には、特定の時間に戻るための装置(コズミック・トレッドミル)がないと無理だ…と弱音を吐くバリー。
そして世界を元に戻すという事は、母ノーラを再び失わなくてはならない……。
それは彼にとって何より耐えがたい事でした。
「過去の自分を止めれば世界は救われる。でも、それじゃ母さんは……別の道を探すよ」
「そのせいで何人が死んだの?……何人が犠牲に?」
 
「時間の壁を破って自分に会いに来たように、強く思えば目的の時間にきっとたどり着ける」と息子を優しく抱きしめ、最後の別れを告げるノーラ。
「あなたのような息子を持てて、母さんは本当に幸せよ……だから、もういいの……」

走り出したバリーは、ついに過去の自分の元にたどり着きます。
すべての悲劇の引き金となったのが『母に会いたいと願う息子の心』であるならば、
それを正したのもまた『息子を信じる母の心』でした。
 
過去の自分を止めに行くバリー。その目からは涙が……。

そして再び歴史は砕け、時間流の中でバリーが見たものは……

バリーに語りかける謎の女性と、新たに誕生した「THE NEW 52」の世界でした。
ここからはちょっと大人の事情ですが……
この「フラッシュポイント」では世界は完全に元には戻らず、逆に新たな世界へと生まれ変わります。
DCコミックスではこれに合わせて今までの全てのシリーズを終了、過去75年に及ぶ歴史に区切りをつけた上で「THE NEW 52!」と銘打った52タイトルを新創刊しています。
以前紹介した「フラッシュ・新たなる挑戦」や「バットマン:ゼロイヤー」などがそれですね。
過去の複雑な設定を一旦リセット&キャラデザもリニューアルしているので、新規の読者でも取っつきやすいようになってます。

再びバリーが目覚めたのは見慣れた職場。果たして世界は元に戻ったのか、それとも……?


バットマン────ブルースの元を訪れるバリー。

事の顛末を説明したバリーは、一つ気にかかっている点を打ち明けます。それはフラッシュポイントの世界での記憶……13歳の時に母が焼いてくれたケーキや、16歳の時に運転免許の試験に母に付き添ってもらったこと……ありふれた、でもかけがえのない時間をはっきり記憶していたこと。
フラッシュポイントでは元の世界の記憶は刻一刻と書き換えられていたというのに……。
そしてブルースの答えは。

「悲しみに耐えられるようにとね……」
バリーと同じように目の前で両親が突然殺された過去を持つブルースには、例えこの世界を引き換えにしてでも両親に会いたいバリーの気持ちは痛いほど理解できるのでしょう……。

バリーはフラッシュポイントの世界でトーマスから託された手紙を手渡します。

「息子へ」という文で始まる手紙に思わず動揺して立ち上がるブルース。
そして極めつけの最後の一文がこれですよ……。

『変わらぬ愛を込めて。お前の父、トーマスより』

バリーとノーラ、そしてブルースとトーマス……
あまりにも突然に、そして永遠に失われたかに思えた二つの親子の絆は
時空を超えて、確かにつながっていました。


……と、長くなりましたが今回こんな感じで!
「フラッシュポイント」は登場人物も多く、ストーリーの関係上、元の設定からも改変されてるので
あまり知識がない状態で読むと付いて行きづらいかもしれません。
自分は初めて読んだDCコミックがこれだったのですが、リーグのメンバーくらいしか知らない状態で読んだので正直「??」な人達もいたり……。シャザムとかこれで初めて知ったよw
でもDCの歴史上重要な作品でもありますし、ストーリー自体はアツイ展開の連続で、キャラの複雑さを払拭する勢いの名作だと思いました!
最後の手紙の演出とか、何なんあんなの泣くやろ……!!
あと巻末には登場キャラのスケッチやメモみたいなのがあったりして興味深かったです~


次回、グリ-ンランタン!

「グリーンランタン:シネストロ・コァ・ウォー」Vol.1&2の二本立て…の予定です。
以前ちょっとだけ紹介した「グリーンランタン:リバース」の続きにあたる物語ですが……
うーん…これはちょっと詳しい解説が必要そうなので、もしかしたら紹介前に解説回挟むかもです~

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